キユーピーも森永製菓も、ディズニーランドもUSJも、イオンをはじめとするスーパーでも。ここ数年で日本でもイースターがクローズアップされるようになってきました。
テーマパークや食品メーカーなどに仕掛けられた戦略にはまっているだけなのかもしれませんが、クリスマスといいハロウィンといい、よく言えばよその文化を取り入れるのが上手い、悪く言えば節操のない日本人です(笑)
「たまご」「うさぎ」「春」といったキーワードで何となく楽しむだけではなく、少しでも理解を深められそうな絵本をご紹介します。
キリスト教ではクリスマスよりもおめでたい「復活祭」
長い苦しみを経て迎える大きな喜び
絵本の紹介の前にイースターの概要を。
「イースター」とは「復活祭」のこと。十字架にかけられて死んだイエス・キリストが3日目に復活したことを喜ぶ、キリスト教において最も重要なお祭りです。
イエス・キリストは人々に讃えられていることで偉い人たち(祭司長ら)の反感を買い、最後の晩餐のあとに捕らえられ、殺されました。
茨の冠をかぶり、大きな十字架を背負って運び、十字架にかけられてからもひどい仕打ちを受けて、大きな苦しみを味わいました。
復活祭前の40日余りは四旬節と呼ばれ、信者も生活を質素にしたり自分の罪を反省したりと、イエスの十字架上での苦しみと一致するように努めます。
3日後に復活するのは、単純に「息を吹き返した」ということではなく、イエスの神性についての真理がその復活によって確証されたという意味を持ちます。復活なくして2,000年も続く「キリスト教」はあり得ないのです。
長い苦しみのあとに味わう喜び、そして大きな意味のある「復活」。
「死んだ。生き返った。よかったね。」なんていう軽薄なお祭りではありません。
変化や運命を受け入れる柔軟さも教えてくれる
死と復活に関する聖書の中で、個人的に気に入っているのが捕らえられる前にイエスが祈る場面です。
「父よ、わたしを死から救ってください。しかし、全ては、あなたのお考えのままに。」
夢・目標・人生設計…。先を見据えて生きるために必要なことはいろいろありますが、思い通りにいかないのが人生。結婚・妊娠・出産などでも人生観は変わってきますし、災害や病気などの不測の事態も起こりえます。与えられた状況を受け入れる柔軟さは、宗教問わず生きていく上で必要な力ではないでしょうか。
キリスト教徒の多い欧州では?
キリスト教圏ではイースター関連でクリスマス以上に盛り上がるそうです。詳しくはjumelleさんのこちらの記事で!
気軽に楽しむイースター絵本4選
見た目には動かない卵から新しい生命が生まれ出ることから、死と復活を象徴しているとされる「卵」。多産で豊穣の象徴であるとされる「うさぎ」。
そんなかわいらしいモチーフも登場しつつ、イースターの意味や復活の喜びにも触れている絵本を集めました。
イースターってなあに
ストーリーも挿絵もシンプルで、小さい子どもにも読みやすい絵本。メインはイースターエッグを用意するかわいいイースターバニーの話ですが、イースターの概要や春の喜び、教会に行くことにもしっかり触れられています。
裏表紙には「おとなのかたへ」として簡潔な解説もあり、教育と娯楽の両面で素敵な絵本です。
ハッピーイースター
るーくんとはなちゃんがイースターパーティーの準備をしていると、いたずらうさぎの魔法で大変なことに!というお話。カラフルな挿絵にもワクワクが膨らみます。
イースターについての分かりやすい説明も付いているので、物語を楽しみながらイースターについて親子で楽しく学べます。
イースターのおはなし
内容も構成も、いかにも洋書!という感じなので、子どもの好みは分かれるところかもしれませんが、西洋では子どもの頃から馴染みのあるお祭りであることを感じやすい絵本。
1年間いい子だったらイースターの前の日に素敵な夢を見られる。イースターの日には不思議なことも起こる。そんな想像を膨らませてうっとりできそうです。「いい子にしてたらサンタクロースが来るよ」に通じるものを感じます。
かあさんうさぎと金のくつ
世界中の子どもたちにイースターエッグを運ぶ役目を持つ「イースターうさぎ」。その夢をあきらめて21匹の子うさぎを一生懸命育てていた野うさぎのかあさんにチャンスがやってくる!というお話。
子どもに読み聞かせるだけでなく、母としての生き方についても考えさせられる1冊。
ストーリー性もあって読み応えがあり、年中(4歳以上)が目安となっています。
真面目に学べるイースター絵本3選
イースターだけでなく、その前にある受難についても書かれている絵本もあります。
話の元になっているのは世界的ベストセラー「聖書」なので、知っておいて損はありません。
こどものせいしょ
優しい挿絵で癒される絵本。復活だけでなく、聖書の有名な箇所が載っています。
十字架の道
聖書に忠実に受難と復活が描かれています。挿絵はぼんやりした感じでなくはっきりわかりやすいので、難しい話の割には子どもにもとっつきやすそうです。巻末には詳しい解説も載っています。
こどものためのイエス・キリスト物語
聖書の有名な箇所がいくつか載っています。クリスマスについても詳しく載っているので、幅広く学べます。
2017年のイースターは4月16日
日本には「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という趣旨の「春分の日」という祝日がありますので、春の喜びを口実にはしゃぎたいなら春分の日でいいんじゃないの?なんて思ってしまうひねくれ者の私ですが、幼少のころからキリスト教に馴染みのある人生を送ってきたので、イースターが日本に浸透することは嬉しくもあります。
イースターの日付は「春分の日のあとの最初の満月の次の日曜」という決め方。2017年のイースターは4月16日です。
企業の商戦に巻き込まれるだけでなく、少しでも理解したうえで楽しめる方が増えることを祈りつつ…。