我が家の発達がゆっくりな長男は療育の申し子ともいえるような子です。
運動発達の遅れから、1歳でPT(理学療法)に通いはじめ、1歳半から自治体の支援センターの集団療育に週2で通い始めました。その後、2歳で児童発達支援のデイサービスも追加し、現在は支援センターと児童発達支援のデイにあわせて週5で通っています。
筆者自身、「療育」という言葉は何となく知っていましたが、「PT」や「OT」等の横文字系、さらに「ST」と「SST」等似たような略字に最初は「???」の連続でした。月謝がいくらくらいか等、費用も気になりますよね。
こちらの記事では、療育を勧められて何から始めたらいいのかわからない未就園・未就学児のママに向け、療育の種類や費用についてお伝えします。
療育に通う意味は?
最近は「早期発見・早期療育」が主流となってきているためか、未就園児のお子さんが療育に通っていることも珍しくありません。
でも、ある日突然我が子に対し「療育に行った方がいいですよ」と1歳半健診や3歳児健診で言われても、「なぜ療育に行く必要があるのか」、「うちの子は障害があるの?」と疑問を感じたり、混乱したり、悲しみを通り越して、時には怒りを感じたりしてしまいますよね。
もちろん、療育に強制的に入れられるということはありません。療育に行かせるかどうかは親の考え方次第です。
しかし、子どもを1歳代から療育に通わせた筆者の経験から言うと、療育に通うチャンスがあるなら、通った方がお子さんの成長に繋がると言えます。実際、我が子も家にいただけでは考えられないくらいの成長を見せてくれました。
また、親として子どもの発達の悩みを相談できる場所ができたということで、一人で悩んでいた時と比べるとものすごく安心したことも療育に通った意味の一つですし、同じような悩みを持つママ友ができたのも療育に通ったおかげと言えます。
療育にはどんな種類があるの?
公立の療育園・支援センター
「療育」というと、自治体の療育園や支援センター(療育センター)をさす場合がほとんどです。
自治体にもよりますが、幼稚園や保育園のように療育が必要な子どもたちを集団で毎日預かってくれる全日制の療育園や、全日制の療育園に通う前段階である1~2時間程度の支援センターのグループ療育などがあります。
療育施設によって、ママと子どもが一緒に通う「母子通園」もありますし、子どもだけが通う「母子分離」の施設もあります。一般的には、未就園児など月齢が低い子やまだ慣れていない子は母子通園になることが多いようです。年齢が上がるにつれて就園や就学を視野に入れ「母子分離」を行う施設が増えてきます。
母子通園のメリット・デメリット
母子通園では、ママが子どもの様子を間近で観察し、悩み事を専門家に相談したり直接アドバイスをもらえるというのが何よりものメリットです。同じ悩みを持つママ友ができたりもしますよ。
逆に常にママが付き添わないといけないので、お仕事をしているママは大変かもしれません。
母子分離のメリット・デメリット
母子分離では、子どもにとってはつらい環境かもしれませんが、「母親」という甘えの対象が傍にいないため、身辺自立などが身につきやすかったり、自立心が育ち成長を感じやすかったりするのがメリットです。また、子どもを預けている時間が自由時間になるのも嬉しいですね。
デメリットとしては、お子さんの療育での様子を直接見ることができないため、母子通園に比べるとお子さんとの家での接し方がわかりづらかったりすることも…。連絡帳や面談、送迎時の会話など、先生方と密に連携を取るようにしましょう。
民間 児童発達支援のデイサービス
公立の療育施設の他に、民間の事業者が行っている「児童発達支援」という施設があります。「デイ」とか「デイサービス」とか呼ばれることも。
こちらの施設は、元特別支援学校の先生や、障がい児の保護者、心理士、保育士、幼稚園教諭等、様々な経歴や資格を持っている人達により運営されています。そのため施設によって特徴やカリキュラムは様々!運動に力を入れている施設もあれば、音楽療法を取り入れている施設も!個別指導を丁寧にしてくれたり、後述するPTやOT、STが受けられるという施設もあります。
通える範囲に複数児童発達支援の施設がある場合は、できるだけ見学に行き「どんな指導ができるのか」、「どんな有資格者がいるのか」、「1日の流れ」など詳しく説明を聞くようにしましょう。残念なことに中には、専門的な知識を持っている指導員がほとんどいないような施設もあるため、必ず見学などを行い施設の質を見極めることが大切です。
PT:理学療法
運動面を中心に訓練をしてくれるのがPT(理学療法)です。1歳半を過ぎても歩行ができなかったり、その他の運動面の発達がゆっくりな子供たちに対して体の動かし方を遊びながら楽しく教えてくれます。
OT:作業療法
手指の使い方が不器用だったり、目と手の協調運動が苦手だったりする子の訓練をしてくれるのがOT(作業療法)です。
幼児の場合は、ひも通しやシール貼り、手先を使ったおもちゃでの遊び、パズル、シャボン玉など様々な教材や道具を使用して遊びながら手先の器用さや口の動かし方、体の使い方を教えてくれます。
着替えが苦手だったり、スプーンや箸の使い方、先生によっては嚥下訓練をしてくれることも。ボールプールやブランコ、トランポリンなどを使い自分のボディイメージを認識する訓練もあります。
ST:言語療法
言葉がゆっくりだったり、発音が不明瞭だったりする子の構音訓練をしてくれるのがST(言語療法)です。嚥下訓練もSTの分野に含まれます。
言葉が遅い子を持つと親は「早くSTを受けさせたい!」と焦りますが、施設によってはSTを受けられる年齢制限があったり、ある程度言葉が話せて椅子に座って話が聞けるなど、子どもの発達に条件があったりすることもあるようです。
また、STはとても人気があるためなかなか空きがないことも。STに興味がある場合は、早めに受けたい旨を医師や施設に伝えておくことが大切です。
SST:ソーシャルスキルトレーニング
社会のルールを守ったり、他人とのコミュニケーションが苦手な子どもたちに、学校や社会のルール、お友達との付き合い方や遊び方を教えてくれるのがSST(ソーシャルスキルトレーニング)です。
SSTではゲームをすることでルールを学んだり、身近なテーマに対して支援者と子どもでロールプレイを行うことで、その場にあった行動や発言を学んでいきます。
療育にはいくらくらい費用がかかるの?
医療費の場合:乳幼児医療証が使えれば無料のことも!?
PT、OT、STなどは病院で受けることができたり、療育センターでも「医療」の扱いになったりするため、健康保険証が使用できます。乳幼児医療証で医療費が無料の自治体では、保護者の支払いがないことも!
民間の施設や個人の指導者から自費で受ける場合は、1回500円程度から3000円、5000円~と施設や指導者によって金額は様々です。
受給者証を使用する場合:多くの家庭で月4600円程度
療育センターの集団療育や児童発達支援を利用する場合は「通所受給者証(以下受給者証)」という「福祉」サービスを利用するための証明書が必要になります。
受給者証は住んでいる自治体の子育て支援課などで申請することができ、受給者証を取得すると福祉サービスが原則1割負担で受けられるようになります。
さらに所得により1月当たりの支払い上限額が決まっており、前年度の所得がおおむね890万円以下の世帯だと月の上限額は4600円程度となっています。所得制限を超えてしまった家庭の場合は、月の支払い上限額が37200円と大きく跳ね上がってしまいますが、実際に児童発達支援のサービスを週5で利用したとしても、大体月の支払いは15000円~20000円程度に収まることが多いのであまり心配しないでくださいね。
筆者の子どもが通っている民間の児童発達支援施設の場合、1日当たり(預かり時間4時間、おやつ、教材費実費込み)の金額は800円程度の自己負担になります。
自費で受ける場合は高額になることも…
近年注目されているABAや受給者証を利用しない自費の療育コースを受講する場合は、上記のような補助が受けられないため、支払いが高額になることも珍しくありません。
友人はABAの療育を週1日受けさせていますが、月の支払いは10万円を超えるそうです。
使えるサービスを賢く利用し、お子さんにあった療育を
子どもに受けさせることができる療育サービスは住んでいる自治体によって大きな差があるのが現状です。療育サービス自体が少ない自治体だと、相談から療育開始まで1年以上待つということも珍しくありませんし、人気の療育施設では200人以上がキャンセル待ちをしていることもあります。
お子さんに療育を受けさせたいと思ったらなるべく早く自治体の専門の窓口に相談するようにしましょう。そして最短で療育を受けられるようスケジュールを組んだり、使えるサービスを教えてもらう事が大切です。
療育施設が複数あるような自治体の場合は、お子さんにあった療育施設を探しましょう。どの施設も見学を受け入れてくれているので、お子さんと一緒に体験に行き納得できるまで施設の人と話をすることが大切です。