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排卵痛はどうして起こるの?
排卵痛が排卵日予測に役立てられるのかを知るためには、まず排卵痛がどうして起こるのかというメカニズムを知る必要があるでしょう。近年は医療機器や技術の進歩により、排卵日の特定がしやすくなってきたこともあって、少しずつ排卵痛のメカニズムがわかってきました。それでは現在有力視されている2つの説について見ていきましょう。
排卵時に起こった出血や卵胞液が腹膜を刺激している
排卵とは、卵胞が破れて卵子が飛び出すことを言います。このときに起こった出血や液体が、子宮や卵巣の周りの腹膜を刺激することで痛みを感じることがあるようです。
卵巣が腫れて腹膜を刺激している
排卵時には卵巣が成熟し、腫れた状態になることもわかっています。卵巣自体に痛覚はありませんが、腫れた卵巣が腹膜を刺激して痛みを感じることがあるようです。
また排卵誘発剤を使った場合は、副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こす可能性があります。卵巣の腫れがひどく激しい痛みを伴うこともあるため注意が必要です。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは、排卵誘発剤によって卵胞が過剰に刺激されることで卵巣が腫れてしまう症状のことを言います。場合によっては命に関わることもあるため、激しい下腹部痛や次のような症状があらわれたときには、すぐに病院を受診するようにしましょう。
- 吐き気がある
- お腹が張っている
- 体重が急激に増加した
- 尿量が少なくなる
排卵痛はどのタイミングでどんな症状が出る?
排卵痛は排卵日の数日前~数日後に起こる
排卵痛は、人それぞれで起こるタイミングが異なります。中には、右からの排卵のときと、左からの排卵のときでは、排卵痛のタイミングが違うという人もいるため「どのタイミングだと排卵痛」と言い切ることができません。ただ排卵痛というくらいですから、排卵日前後に起こると思っておいて間違いはないでしょう。
「排卵痛のような症状が起こったけど、排卵日っていつ頃だっけ?」という方は、計算でおおよその排卵日を割り出してみてください。排卵日は生理周期から14日を引いて割り出した日数を、最終月経日から数えれば導き出すことが可能です。
例えば28日周期の方は(28-14)で14日となるので、1月1日が最終月経日であれば、1月15日が排卵予定日ということになります。
排卵痛の症状は下腹部の軽い痛みや違和感
排卵痛の症状も個人差が大きく、違和感があるレベルから痛み止めが必要なレベルまでさまざまです。排卵痛は誰にでも起こりえますが、中にはまったく排卵痛を感じないという人も少なくありません。「これって排卵痛かな?」と思ったら、次のような特徴があるかどうかもチェックしてみてくださいね。
1.子宮や卵巣付近で起こる
排卵痛は、生理痛と違って痛みの元となるプロスタグランジンを産出することが原因ではなく、排卵に伴う子宮や卵巣付近の臓器への刺激で起こります。そのため症状は局所的にあらわれることが多いようです。
2.チクチクする痛みと表現する人が多い
生理痛の場合、経血を排出しようと子宮が収縮するため、ギュッと締め付けられるような痛みを感じます。排卵痛は、排卵に伴う卵巣や子宮の変化が周囲の臓器に刺激を与えることによって起こるため、チクチクやチリチリとした痛みを感じやすい傾向があるようです。
3.下腹部が重い、違和感がある
中には痛みというほどではないけれど何となく下腹部が重い、違和感がある程度にしか感じないという人もいます。排卵日付近に排卵痛らしき痛みがなくても、排卵されていないというわけではありませんので、あまり心配しすぎないようにしましょう。
排卵痛から排卵日を予測することはできる?
排卵痛だけで排卵日の予測をすることは難しい
排卵痛は、どういった作用で痛みが起こっているのかにもよって、痛み方や痛む場所、痛むタイミングが異なります。排卵日の前に起こるケースもあれば、排卵日の後に起こるケースもあるので、排卵痛だけで排卵日を正確に予測することは困難と言えるでしょう。
排卵日に起こる排卵痛以外のからだの変化
排卵痛だけでは排卵日の予測が難しいことはわかりました。しかし排卵痛がまったく排卵日の予測に使えないわけではありません。次のような排卵日に起こる排卵痛以外のからだの変化と合わせれば正確性をUPさせることが可能です。
排卵日に起こる排卵痛以外のからだの変化には次のようなものがあります。
1.おりものが卵白のような形状に変化
排卵日前後になると徐々におりものの状態透明で量が多く、粘り気が強い卵白のような形状のおりものに変化していきます。指にとって10cm以上伸びるとそろそろ排卵日が近いというサインです。
2.基礎体温が急激に変化
基礎体温は、排卵日の当日から直前にガクンと体温が下がります。排卵後は少しずつ体温が上昇し高温期に入るため、排卵日前後の体温の急激な変化を把握することも、排卵日の予測に役立ちます。
3.排卵出血
排卵に伴い卵胞ホルモン(エストロゲン)というホルモンの影響で、子宮内膜の一部が剥がれ落ち、排卵出血が起こることがあります。出血は茶色いおりものが出る程度から月経初日くらいの少量であることがほとんどです。
4.生理のときのような症状
排卵日前後には次のホルモンの分泌量が大きく変化します。
- 卵胞ホルモン(エストロゲン)
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 黄体化ホルモン(LH)
これらのホルモンバランスの変化によって、下記の生理のときのような症状が出ることがあります。
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 気分の落ち込みやイライラ
- むくみ
- 胸の張り
ただ、こうしたからだの変化の有無や症状のあらわれ方には個人差があります。大切なのは「自分にはどんな症状があらわれるのか」をしっかり見極めて行くことと言えるでしょう。
より正確に排卵日をつかむためには
より正確に排卵日をつかむためには、前項の「排卵日に起こる排卵痛以外のからだの変化」でご紹介した内容以外に次のような方法を用いるのも一つの方法です。
排卵検査薬(排卵日チェッカー)を使う
排卵検査薬は、排卵直前に分泌がピークに達する黄体化ホルモン(LH)の量を測定することで、約1日前に排卵日を予測するツールです。妊娠検査薬のように尿をかけるだけで手軽に測定することができます。
病院で卵胞チェックを受ける
より正確に排卵日を把握したいという場合には、病院で卵胞チェックを受けるのも手です。通院の手間はありますが、超音波検査機を使って、お医者さんに卵胞の成熟具合を見てもらうため、より正確な排卵日がわかります。
排卵痛は排卵日を予測する一つの手段
排卵痛だけで排卵日を予測することは困難です。しかし排卵痛にプラスして、それ以外のからだの変化や、排卵検査薬、卵胞チェックなどの結果を照らし合わせれば、正確性は向上します。
妊娠の確率をアップさせるためには、正確な排卵日の把握が欠かせません。排卵痛も排卵日予測の一つの手段として、ぜひ取り入れてみてくださいね。