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大塚国際美術館とは?
1日中遊べる巨大陶板美術館
大塚国際美術館は徳島県の鳴門にある世界の名画1000余点が原寸で一同に見られる巨大な美術館です。
ここの特徴は有名絵画を実物大で「陶板」にプリント・細密にレタッチ・焼成して展示しているということ。陶板なので経年劣化せず、間近で世界中の作品を実物そのものの迫力を見て、そして触れることができるのです。この美術館では三脚などの固定具・ストロボ・フラッシュなどを使った撮影は禁止されているものの、それを使わない撮影はできますので、本物ではありえない名画と記念撮影、なんてこともできます(商業用撮影は厳禁)。
基本情報
- 施設名:大塚国際美術館
- 住所 :〒772-0053 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
- TEL :088-687-3737
- FAX :088-687-1117
- 開館時間:9:30~17:00(入場券販売は16:00まで)
- 休館日 :毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
1月は連続休館日有・8月は無休・特別休館日等は公式サイトのカレンダー参照 - 入館料 :大人(18歳以上)3240円・大学生 2160円・小中高生 540円 (前売り券あり)
※スタンプで再入館可 - 電車・バス
JR徳島駅から路線バス27番・鳴門公園行き「大塚国際美術館前」下車(約74分)
JR鳴門駅から路線バス27番・鳴門公園行き「大塚国際美術館前」下車(約17分) - 高速バス
鳴門公園口駅(下車専用)より徒歩約9分の鳴門公園駅から路線バス21番・徳島駅前行き「大塚国際美術館前」下車(約7分)
※路線バスは1時間に1本 - 駐車場(美術館より約500m・シャトルバス有)
・料金…無料
・台数…340台
・営業時間…駐車場への最終入場は15:50まで
基本的にバリアフリー、授乳室なども完備しています。正面玄関から展示室までエスカレーターで上がりますが、車椅子の方は別ルートよりエレベーターを使うことができます(事前に問い合わせておくとスムーズです)
地下3階から始まるアートの歴史
正面玄関からの41mエスカレーターでメインホールへ
大塚国際美術館の正面玄関を入ると41mもあるエスカレーターと階段があります。ここを上ると地下3階。山の中に建てられた美術館は地下3階、地上2階の計5階建て。メインの美術作品はほぼ地下に展示されています。
エスカレーターの真正面にあるのがシスティーナ礼拝堂を原寸大で再現したホール。壁や天井にびっしりと書き込まれた人物画は圧巻です。そして一部を原寸のまま床まで下ろして展示しており、その部分を見比べることで私たちが地上から見上げている絵がいかに計算されて描かれたかを知ることができます。
このホールの入り口左側にモデルコースが書かれた館内地図が置いてあるのでもらっておきましょう。また、ガイドツアーなどの詳細もこの辺りに書いています。
地下3階は古代〜中世美術
ホールを出て右へ行くと展示が始まります。各部屋には番号が振られ、番号順に見ていくことによって美術史を遡っていきます。地下3階は古代から中世の展示で、「環境展示」と呼ばれる空間そのものを再現した展示が多く見られます。上記のシスティーナ礼拝堂ホールも環境展示の一つです。
モザイク画もモザイク一つ一つの凸凹まで忠実に再現してあり、レプリカとは思えないほど。
陶板製作の紹介コーナーもあり、技術の高さに驚かされます。
地下2階はルネッサンス〜バロック
この階は誰でも一度は見たことのある作品が多数展示されています。時代の性質上からか宗教画が多いです。ふわふわした夢見がちなタッチの絵からだんだんとリアリスティック・ドラマチックになっていく様子がよくわかります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の修復前・修復後が見られるのは世界でここだけ、見逃せません。先ほどのシスティーナ礼拝堂の天井壁画を間近に見られる窓もあります。屋外に展示された「モネの大睡蓮」は圧巻。
ここで一息、カフェ・ド・ジヴェルニー
2フロアも見て少し休憩したいな、と思い始める辺りでいいカフェがあります。このセルフサービスカフェは睡蓮の庭に面しており、気候の良い時期だと屋内だけではなくテラスに出て本物の蓮の花を見ながらお茶もできます。飲み物やケーキ、サンドイッチなどの軽食も用意されています。開催中のイベントによって期間限定の特別メニュー(写真)も。
営業時間:10:30〜16:00(フードメニューの販売は14:30まで)
飲食できる場所は他にも別館1階にはレストラン・ガーデン(営業時間:11:00~15:30・ラストオーダー15:00)、地下3階メインエントランス奥にはゴッホがテーマのカフェ・フィンセント(営業時間:10:00~16:45・ラストオーダーはフード16:15、デザート・ドリンク16:30)があります。
地下1階はバロック〜近代
まずエスカレーターを上がって左側へ回り込んで誘導されるのはゴヤの部屋。宮廷画家だったゴヤの華やかな絵から一転、晩年の「黒い絵」と言われている、ゴヤの家にあった謎に満ちた一連の絵画まで網羅しています。この部屋は薄暗く不気味な作品が多いので、小さな子にはちょっと怖いかも(ここは見なくても順路を辿れます)。
この階は宗教画から抜けて様々な題材やタッチで描かれた作品が数多く展示されています。ゴッホの7つのひまわりを展示している部屋もこの階にあります。
1・2階は現代美術
ここからの順路は変則的になり、地下1階より一度2階へエレベーターで上がりシャガールコーナーなどを見学、その後1階に降りて原寸大ゲルニカを見てだまし絵の部屋へ、その後もう一度2階へ行き、レンブラントの自画像の部屋で終了!
全長約4km名画の旅、お疲れ様でした!
年中イベントだらけ!開催中のイベント
ここ、大塚国際美術館では一年を通して様々なイベントが行われており、子供から大人までアートに親しめるようになっています。
2019フレンチアートを遊びつくす!
2019年は「フレンチアート」がテーマです。スタンプラリー形式の「フランスアート手帳」で館内を巡ってフランス人画家を堪能、また季節ごとにテーマに沿ったアートツアーなどを多数企画しています。これに合わせてランチ&スイーツもフレンチ仕様に。
また、4月20日からはフェルメールの日本未公開作品「ヴァージナルの前に立つ女」が原寸大再現で展示されます。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
1年まるごとゴッホのひまわり(2018年)
ゴッホは7つの花瓶のヒマワリ画を遺しました。しかしそれらは個人が所有していたり戦火で焼失したりで今は全て集めることはかないません。しかし陶板では可能です。地下1階の60番展示室では7つのひまわりを一同に展示しています。と同時に2018年3月より1年間、本物の「ひまわり」がある5カ国をテーマに様々なイベントを行っています。私たちが訪れた10月は第3弾のイギリスでした。
2月からイベント終了日まではこの1年最後の第5弾、日本になります。
ここでしか見られない幻の「焼失した自画像」も展示
ゴッホ唯一の全身自画像と言われている「タラスコンへの道を行く画家」という絵は第二次世界大戦中、ドイツ軍が避難させた後消失してしまいました。それを大塚国際美術館が陶板で複製したものを2018年11月3日より一般公開しています。
名作アニメ・漫画に登場する名画ツアー
ほぼ毎週土日(開催日はサイトで確認してください)は先着20名限定で、ゴッホ7つのヒマワリやフランダースの犬に登場する名画を含めた様々な絵画を、ガイドさんが約40分かけて案内してくれるツアーを開催しています。どのアニメ・漫画・名画が紹介されるかはお楽しみ。公式サイトにて予約を受け付けています(追加料金不要)。
怖い絵ツアー
「怖い絵」(著者:中野京子さん)というエッセーの中に出てくる絵を中心に、絵にまつわる怖い話などを名画を巡りながら紹介します。先着20名・土日限定で行われていますがすでに満席の日もある予約必至の人気ツアーです!
(追加料金不要)
ここに紹介しているもの以外にも毎日定時に開催されている館内ツアーもあります。詳しくは公式サイトにて。
びじゅチューンの元ネタが一挙に21作品も見られる!
Eテレにて、ゆるーく美術作品を紹介している「びじゅチューン」の元ネタ作品巡礼(?)を語るにおいてここは外せません。本物は海外の美術館に収蔵されており、世界各地を飛び回らないと見ることができませんが、こちらではたくさん陶板化・展示されています。番組のスペシャル回(DVDBook3に収録)でも紹介されたこの場所では、今までも「びじゅチューン」と連動した様々なイベントが行われてきました。今後にも期待です。
21作品リスト(展示順)
2018年11月現在見ることができるのは以下の21作品です(《》内の数字は階数と展示室番号)。
- 真珠の耳飾りのくノ一 (ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」)《B3-2》
- 何にでも牛乳を注ぐ女 (ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」)《B3-2》
- 貴婦人でごめユニコーン (貴婦人と一角獣)《B3-26》
- 委員長はヴィーナス (サンドロ・ボッティチェッリ「ヴィーナスの誕生」)《B2-30》
- 雪中のフォーメーション<山> (ピーテル・ブリューゲル「雪中の狩人」)《B2-39》
- 1500年のオーディション (アルブレヒト・デューラー「1500年の自画像」)《B2-43》
- お局のモナ・リザさん (レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」)《B2-46》
- テュルプ博士の参観日 (レンブラント・ファン・レイン「テュルプ博士の解剖学講義」)《B2-48》
- ラス・メニーナス、開演前 (ディエゴ・ベラスケス「ラス・メニーナス」)《B2-51》
- 夏野菜たちのランウェイ (ジュゼッペ・アルチンボルド「四季〈夏〉」)《B2-56》
- 睡蓮ノート (クロード・モネ「睡蓮」)《B2屋外展示・57》
- 民衆を温泉に導く自由の女神 (ウジェーヌ・ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」)《B1-66》
- 潜入捜査inムーラン・ド・ラ・ギャレット (ピエール=オーギュスト・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」)《B1-68》
- 火消しが来りて笛を吹く (エドゥアール・マネ「笛を吹く少年」)《B1-69》
- 月曜日モンスター (ジョルジュ・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」)《B1-72》
- ひまわりがお掃除しちゃうわよ (フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」)《B1-73》
- オフィーリア、まだまだ (ジョン・エヴァレット・ミレー「オフィーリア」)《B1-74》
- 崖のぼり、のちキス (グスタフ・クリムト「接吻」)《B1-76》
- 出会えないりんごとオレンジ (ポール・セザンヌ「りんごとオレンジのある静物」)《B1-78》
- ムンクの叫びラーメン (エドヴァルド・ムンク「叫び」)《B1-80》
- レーサーはゴーギャン (ポール・ゴーギャン「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」)《1F-94》
番外編:縄文土器先生 (火焔型土器) B3陶板紹介コーナーにて作品例として展示
2018年10月訪問レポ。親子で遊び倒してきました
2018年10月、大塚国際美術館へ行ってきました。午後14時頃より入館、閉館の17時までの3時間、たっぷり遊びつくしました。以下、印象に残った出来事です。
システィーナ礼拝堂のマッチョ夫人
一度は見たことがあるような絵が沢山描かれている礼拝堂の天井壁画。沢山の人物画ですがほとんどが男性。女性は数えるぐらいしか描かれていません。その中で筋肉隆々の女性を見つけました。某漫画に登場しそうです(笑)
一風変わったひまわりスタンプラリー
さすが美術館、スタンプラリーも嗜好を凝らしています。館内5箇所に設けられたスタンプ、最初は黄色、次は赤…と1箇所1色、計5色の版が用意されており、1枚の紙に重ねて押していくとゴッホのひまわりが完成する、というものです。しっかりホルダーに専用紙を差し込んでからスタンプを押すので、版がずれてしまうということはありませんでした。
これは始めてしまったらコンプリートしなきゃでしょう。ひまわりのうちの一つは空白なので、最後に自分で好きなひまわりや顔などを描いて、世界で唯一のオリジナルひまわり画ができました。
親も子もなりきり上等!名画コスプレ
この時は「#アートコスプレフェス2018 feat.ゴッホ」としてゴッホ関連も含め、全部で37着もの衣装と舞台が美術館のあちこちに設置されていました。絵画の中の人になりきって額の中に入るスタイルから沢山の登場人物のうちの衣装を着て自由にポーズする場所など、様々なコスプレが用意されていました。
最初は躊躇していた子供達も一度着てしまうとあとはあれも!これも!とコスプレ魂に火がついて次々と着ていました。子供用衣装のサイズは130なので、小学生にぴったり。
絶妙なタイミングで現れるカフェ
広い館内を名画を求めて歩き続け、そろそろ疲れたなという頃にあるのがカフェ・ド・ジヴェルニー。ここでのオススメは「おいしいぃぃぃ~と叫ぶムンクのどら焼きセット(600円)」。2019年3月末までの期間限定ですが、ムンクの焼印がついたどらやきの中はかぶりつけないほどのたっぷりの粒あんと名産の鳴門金時あん。阿波番茶という独特の風味のお茶とバターおかき・生クリームがついて、まさにこの場所でしか味わえない一品です。
びじゅチューンの絵を探せ!見つけたら記念撮影
びじゅチューン好きの子供達と私(笑)、びじゅチューンの元ネタ画を探しては記念撮影をしました。想像以上に大きな作品から小さな作品まで、TVや本からでは伝わりにくいリアルが感じられました。それらのコスプレもあったりで盛り上がり、それはそれは堪能しました。
この名画達以外見向きもしないかもと思いましたが、自分たちのお気に入り作品をしっかり見つけては自由な感想を述べていました。
ミュージアムショップでグッズ購入
アートの大冒険を終えて地下3階へ戻ってくると、この場所ならではのグッズが沢山のミュージアムショップが。今年はゴッホ特集なのでゴッホ関連のグッズが沢山売られていました。私の狙いはムンクの阿波和三盆。そして子供達は独自の嗅覚(?)でびじゅチューンのガチャガチャを見つけていました。
バスツアーや宿泊プラン・前売り券でお得に入館
いくら1日中遊べるとはいえ、他の美術館・博物館に比べると決して安いとは言えない入館料。立地も車がないと少々行きにくい所にあります。おすすめは日帰りバスツアー。近くにある渦潮や淡路島見学に美術館入場プランが組み込まれた様々なバスツアーが旅行会社各社から販売されています。
また、日帰りでは少し遠い、時間を気にせずにゆっくり堪能したい人は鳴門近辺のホテルが入館券付きの宿泊プランを出しています。私たちはこれを利用してゆっくり滞在、鳴門の渦潮も大潮時にしっかり見ることができました。
ちなみに入館後、手にスタンプを押してもらうと再入館が可能ですので、朝から美術館、大潮の時間に抜けて渦潮見学、そして再び美術館、ということもできます。
前売り券は大人3100円・大学生2100円・小中高生520円とほ〜んの少しだけ安くなります。払い戻しはできませんが、各コンビニ・美術館の近隣施設で入手できますし、券面の印字が消えない限り有効です。
※データ、情報は2018年11月5日現在のものです。