今年もイースターが近づいてきましたね。昨今では日本でもイースターが大々的に取り上げられてきていますが、キリスト教徒の多い欧州では昔からとても重要なお祭りです。どのようなことをするのか見てみましょう。
イースター前にひと暴れ
カトリックの街ではイースター前の2月頃に「carnival(謝肉祭)」があり、断食(肉断ち)前に仮装したり山車で練り歩いたり紙吹雪を散らしたりして、冬の鬱憤を晴らすかのように老若男女問わず盛大に馬鹿騒ぎをします。日本でもブラジル・リオやイタリア・ベネツィアのカーニバルが有名ですよね。実はこのような宗教的な意味があり、イースターとも繋がっているのです。
私が住んでいる街では残念ながらありませんが、他のドイツ語圏の街や南フランスへ行くと2月には街をあげての大規模なパレード(独語・ファスナハト、仏語・カルナバル)が1週間ほど続きます。時期は地域によって差があるようです。どこも最後は巨大な藁人形を燃やして終わります。
人々の浮かれ具合は…実はクリスマス・イースターの比ではありません。
イースターのシンボルと楽しみ方
carnavalの後には断食(肉断ち)期間があり(現在はほぼ存在しませんが)、それが明けた後の祭りですので否が応でも盛り上がります。
うさぎやヒヨコがシンボルのキュートなお祭りイースター、街中は3月に入るとイースターグッズであふれます。いつもは可愛いものが少ない欧州の店頭もこの時ばかりはうさぎ・ひよこ・卵だらけで可愛くなります。
イースターエッグ
卵はイースターの重要なシンボルの一つです。この時期、中身を抜いて乾かした卵の殻にペイントをしてリースを作ったり木に吊るすなどして飾ります。
もちろん手軽にデコレーションされた卵を買うこともできます。
エッグペイント
伝統的な着色は玉ねぎの皮を煮た汁を使うそうですが、現在はとてもカラフルです。街ではイースターの時期に合わせて子供向けに卵をデコるイベントが開かれます。スーパーでは卵(の殻)専用の着色料やペン・シール・ラップなどが売られ、子供達は思い思いに色や飾りをつけて楽しみます。
エッグハント
これはイースターの休みに欠かせないイベントです。庭や部屋に大人が卵を隠してそれを子供達が探し、見つけた分を持ち帰ります。卵は割れても良いようにチョコレートやゆで卵を使います。
親戚が集まる時は事前に連絡しあわないと皆がエッグハント用にと大量のゆで卵を持ち寄り、すべての家族(特に子持ち家庭)が後日ゆで卵料理を作り続けないといけないという悲劇が待っています。
子供達が集めてきた卵を大人がまたこっそり隠しに行くなどしてエンドレスで楽しめます。
普段は原色で着色されているゆで卵(茹でか生かを判別するため)も、この時期だけはイースター仕様として写真のような優しい色でも販売されます。
イースターチョコレート
チョコレートはエッグハントに使う卵型だけではなく、ウサギ型やヒヨコ型のチョコがスーパーやケーキ屋さんにて大量に売られます。これらは家で買うだけでなく、親戚で集まった時にプレゼントとして交換されます。子供達はこの可愛いチョコレートが大好きです。
イースターの後は各家庭にチョコレートが溢れます。
Colombe(白鳩)のケーキ
白鳩(colombe)は平和の象徴として有名ですが、こちらではイースターにその白鳩を模したケーキを食べます(写真の左側のでっぱりが頭、上下が羽、右側がしっぽというイメージです)。イタリア語ではcolomba、フランス語ではcolombeと言われており、形が特殊なので家では作らず既製品を買ってきます。このような形状ですので切り分けるのに苦労します。
ちなみにcolombeは厳密には鳩ではないそうです。
子羊のケーキ
白鳩と共にイースターのサブキャラ的存在のひつじ。ぬいぐるみはもちろん、このような3Dケーキにもなります。
イースターは移動祝日
イースターの面白い特徴は「開催日が年によって違う」ということです。今年2017年は4月16日ですが、来年の2018年は4月1日です。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」という算出法なので、最大1カ月弱の差があります。そしてそこに付随してくるのが「祝日」。日曜日がイースターだからといってその前後にしっかり働くようなことはしません。しっかり公式の祝日があります。
まずは「イースターフライデー」として直前の金曜日、そして「イースターマンデー」として直後の月曜日です。ここで4連休を楽しみます。学校はその前後にイースター休みとして1〜2週間のお休みがあります。もちろんこのお休みも毎年イースターに合わせて移動します。
イースターの意味・由来とは?
イースターはざっくり言うとキリストの復活祭です。詳しくはweedsさんの記事でご覧ください。
欧州への旅行はイースターがオススメ!そのココロは!
週末や祝日はきっちり店を閉めるのが欧州式。せっかくの海外旅行では避けたいですよね。しかしこのイースターは欧州にしては珍しく可愛いグッズが店頭に並び、春めいて浮かれた雰囲気を楽しむことができるので旅行には良い時期です。それにイースターに合わせたイベントも各地で目白押しです。例えばスペイン各地では「セマナサンタ」という行事があります。いつもの陽気なスペインとは違ったミステリアスな雰囲気ですが、この時期にしか見ることはできません。
ただ欧州の休日も重なっていますので主な観光地は人でごった返します。ホテルが取れない場合もありますので、イースターの時期にヨーロッパへ旅行する際は数ヶ月前から計画を立てておくことをおすすめします。
イースター後も続く欧州の関連祝日
実はイースターが終わってもまだ関連する祝日があります。
まずは約40日後の木曜日にある「Ascension(昇天祭・キリストが再び天に召されたとされる日)」、そして約50日後の月曜日にある「Pentecost(聖霊降臨祭・キリストの預言通り聖霊が降りてきたとされる日)」です。
見落とされがちですが気候の良い5月〜6月にあるので、その時期に海外旅行をする方はご注意ください。特にAscentionは木〜日の4連休にしてしまう店が多々あります。
長い冬からの復活とも言える春の祭典
イースターは宗教的な意味合いで重要なイベントですが、それだけではなく厳しい冬を乗り越えた後に来る春を喜ぶ祭りでもあります。子供達はエッグハントとチョコレート欲しさに待ちきれない様子です。
イースターが来ると長い冬眠から覚めてようやくすべてが動き出す、そんな気持ちになります。