年明け後も続く欧州クリスマス事情
クリスマスがいくら市民権を得たとはいえ日本の冬は正月ありき、26日になればどのお店もお正月にシフトチェンジしますよね。かたや欧州ではクリスマスが年末のメインイベント、家族で過ごし、新年は友達と年越しパーティを行う、という話はよく聞くかと思います。ではクリスマスツリーはいつまで飾っているのでしょう。
私はスイスへ来るまで、クリスマス重視とはいえ、さすがに大晦日までには片付けてしまうんじゃないかと思っていました。しかし、年始に義実家や友人宅に顔を出してもクリスマスツリーは相変わらず飾ってあるのです。
ただの惰性?いえいえ義母なんて私よりもきっちりしている方なのでその線はありません。それに個人宅だけではなく街の店頭を見てもやはりクリスマスデコレーションがずーっと飾られているのです。クリスマスが終わって寂しいからそのまま飾ってる?なんて思ってました。
年明けに「公現祭」なるものが存在した!
実はキリスト教には年明け1月6日(または1月の第1日曜日、それが正月に被ると第2日曜という説も)に「公現祭」というお祭りがあるのです。公現祭とは元々は東方教会(ギリシャ正教など)のキリストの洗礼のお祝いだったものが、西方教会(カトリック・プロテスタントなど)ではその意味が失われ、キリスト生誕の際に東方三博士が訪問したという逸話に基づいたお祭りとなったそうです。
東方教会ではクリスマスより公現祭がメインとされ、プレゼントを開けるのもこの日としている地方があるそうです。
クリスマスは公現祭後にようやく終わる
故にクリスマスツリーも惰性ではなく公現祭までしっかり飾られているのです。これが終わると長かったクリスマスも終わり、街ではぼちぼちと名残惜しげにクリスマスデコレーションを片付け始めます。そして町中のあちらこちらにクリスマスツリー(生木)が捨てられる時期になります(本来はダメですが、仕方ないので市が回収して回ります)。
公現祭のお楽しみ、ガレットデロワ
さて、この公現祭というお祭りに何をするかと言うと、Galette des rois (ガレットデロワ・王様たちのお菓子)というケーキを家族で食べるのです。王様たちというのは東方三博士のことです。
このケーキのお楽しみは、中にフェーヴという陶器の小さな人形が入っており、切り分けた時にフェーヴ入りが当たった人が王冠をかぶって1日王様(女王様)になれる、というもの。王様は来年のこのお祭りの用意をしないといけないなどという決まりがある場合もあります。
ちなみにフェーヴとはソラマメの意味で、昔はソラマメを入れていたことに由来します。
ガレットの種類は大きく2つ
この日に食べるケーキは国や地域によって形状が若干違いますが、私の住む地域では主に2種類のお菓子を目にします。
一つ目は本来のGalette des rois、アーモンドクリーム入りパイです。サクサクのパイ生地にたっぷりのアーモンドクリームが入っており、好みは分かれますが好きな人にはたまらないお菓子です。もう一つはBrioche des rois(ブリオッシュデロワ)、大きな丸いパンの周りに8個の小さいパンがついたお花の様な形のお菓子です。我が家では子供達も私もこちらの方を好んで食べるので毎年作っています。
Brioche des rois(ブリオッシュデロワ)のレシピ
材料
・小麦粉(中力または強力粉)…500g
・無塩バター…60g
・卵…1個
・砂糖…100g
・塩…小さじ1
・ドライイースト…6g
・牛乳…225cc
・ドライレーズン…50g
・スライスアーモンド…適量
・ざらめ砂糖…適量
・ツヤ出しとして卵液…適量
・フェーヴとしてアーモンドまたは大きめのナッツ(無塩)…1個
作り方
1:小麦粉からドライレーズンまでの材料を全てホームベーカリーに入れて第一次発酵まで任せます。またはパン作りの要領で捏ね、滑らかな生地になったら丸めて濡れ布巾をボウルにかけて約2時間、2倍の大きさになるまで発酵させます。
2:発酵が終わったらガス抜きをして、生地を80〜85gの塊8個とその残りに分けて全て丸めます。
3:塊8個のどれかにフェーヴとしてナッツを一つ、仕込みます。
4:残りの生地の周りに塊8個を円状に置いて30分ほど第二次発酵させます。
5:ハケでツヤ出しの卵液を塗り、スライスアーモンドとざらめをちらして190度のオーブンで25〜30分焼きます。
6:焼きあがったら冷まして出来上がり。
新年の運試しとして楽しんで
今年の我が家の王様は娘1でした。仕込んだのを知っていたかのように躊躇なく選んでの当選(?)、しっかりフェーヴとして入れたカシューナッツを見せてくれました。そして翌日、義実家にて義両親含む6人で挑んだ際は、まずは全員ハズレ、二つ目をねだった娘2人のうち、計ったかのように娘2がゲットしました。こちらは既製品だったので陶器のフェーヴでした。
お菓子はフェーヴさえ仕込めればどんなものでもいいように思います。来年はぜひ新年の運試しとしてGalette des roisのゲームをご家族で楽しんでみてはいかがでしょうか。